日本刑事政策研究会
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受賞者発表
刑事政策に関する懸賞論文募集の結果について
 一般財団法人日本刑事政策研究会と読売新聞社は、住み良い社会を作り上げるために刑事政策思想の普及が特に重要であるとの観点から、刑事政策に関する懸賞論文を募集しています。
 令和6年度の論文題目は「社会復帰支援における地域の役割と在り方について」であり、論文の募集は令和6年5月に開始され、同年8月31日をもって締め切られました。
 応募いただいた論文については、各審査委員による厳正な個別審査を経て、令和6年12月4日に開催された審査委員会で、受賞者が選定されました。その結果は、次のとおりです。
優秀賞(1名) 山下 真由(愛知教育大学教育学部教育支援専門職養成課程教育ガバナンスコース3年)
論文題目 「犯罪をした者が地域で居場所を得られるようにするための支援策」
佳作(3名) 大河原 希佳(関西大学大学院法学研究科法学・政治学専攻修士2年)
論文題目 「地域における再犯防止と有効性の検討─重層的支援体制推進事業の活用─」
定藤 礼奈(愛知教育大学教育学部教育支援専門職養成課程 教育ガバナンスコース3年)
論文題目 「職業定着と再犯防止を目的とするジョブローテーション」
井畑  皓(愛知教育大学教育学部学校教員養成課程義務教育専攻社会専修3年)
論文題目 「空き家を利用した住居提供の取り組みの提案」
 優秀賞には、当研究会から賞状及び賞金10万円が、読売新聞社から賞状と賞品がそれぞれ授与され、また、佳作には、当研究会から賞状及び賞金5万円が授与されました。
 以下に、優秀賞を受賞した論文(全文)及び佳作を受賞した論文(要旨)を掲載いたします。
令和6年度受賞作品
優秀賞犯罪をした者が地域で居場所を得られるようにするための支援策(山下 真由)」
佳作地域における再犯防止と有効性の検討
─重層的支援体制推進事業の活用─
(大河原 希佳)」
佳作職業定着と再犯防止を目的とするジョブローテーション(定藤 礼奈)」
佳作空き家を利用した住居提供の取り組みの提案(井畑  皓)」
優秀賞
犯罪をした者が地域で居場所を得られるようにするための支援策
山下 真由
1.はじめに
 近年の日本では、検挙者の約半数を再犯者が占めている@。そのため、犯罪を減らすためには再犯者を減らすことが有効である。
 そこで、この論文は、犯罪をした者が地域で居場所を得ることで、再度犯罪をしないために必要な施策を考察することを目的とする。初めに、犯罪をした者が社会復帰する上での課題を提示した上で、犯罪をした者が地域で居場所を得られるようにするために地域に求められる役割について言及し、それらを踏まえた居場所獲得のためのプログラムの提案という流れで論を展開する。

2.犯罪をした者が社会復帰において抱える課題
 今回注目した課題は、犯罪をした者が社会の中で孤立してしまう要因の一つであると考えられる、協力雇用主制度を利用して就職しても、短期間での離職率が高いということである。実際に協力雇用主制度によって雇用された犯罪をした者のうち、約70% の人が一年以内で勤務の継続を終了Aしてしまうという統計が出ていることから、犯罪をした者の多くが社会復帰後の居場所となり得るコミュニティを一年以内に一つ失っていると捉えることができる。これは、社会的孤立を助長し、再び罪を犯す可能性が高まっている状態にあるといえる。
 堀田・湯原らBは、女性の高齢犯罪者の場合、生活費が切羽詰まった状況ではないものの、少額の万引きなどを繰り返すようになる者も少なくなく、そこでは孤独感や孤立感といった心理的要因が犯行に影響している可能性があると述べている。さらに、令和5年版犯罪白書Cによると、非行少年には、逆境体験を有する者や経済的な困難を抱える者が多く、社会からの孤立も懸念されることから、少年院出院後や保護観察期間終了後も必要な支援を受け続けられることが、再非行防止のためには重要であると述べられている。すなわち、コミュニティを地域内に持つことによって社会的孤立を防ぐことができれば、犯罪をした者の心理的負担が減ることや、いつでも助けを求められることで、再び罪を犯す可能性を低くすることが可能なのではないか。
 故に、犯罪をした者には、職場という上下関係のある慣れないコミュニティだけでなく、横並びの関係や安心できる居場所となるコミュニティを地域に持つことが必要である。そこで、この課題を解決するための地域の役割と具体的な支援策を提案する。

3.地域の役割
 地方公共団体や自治体には、犯罪をした者が社会復帰をするために、一人ひとりに寄り添い、気軽に助けを求められるコミュニティを築くことができるような支援を提供することが求められる。そのため、地域が行う支援は、犯罪をした者への多様な制度の紹介や機会提供、住民の理解を得ること、支援の協力者を増やすことなどを行うため、制度づくりなどの国による支援と支援者による犯罪をした者に直接行う支援の中間に位置づけられる。
@ 就業支援以外の支援策の拡充
 地域の特性をよく知る人や、社会教育などを行なっている団体などに協力を仰ぎ、その地域に愛着をもち、住民たちとの交流を活発化させるような支援策などを実施し、職場以外のコミュニティを得られるようにする。
A 専門性を持つ人を地域に配置する
 自治体や社会教育施設などに、社会復帰支援に関する専門家を非常勤などで設置し、犯罪をした者やその周りの住民が気軽に相談できるような環境を整え、支援を必要とする人、その人を支える人のどちらも悩みを解決し、より効果的な支援の提供ができるようにする。
B 暖かく迎え入れる居場所づくり
 犯罪をした者が社会で生活していく上で、友達に相談する感覚で住民に相談できるような環境を作る。そのためには、協力者となる「緩い専門家」の育成が必要である。地域の役員会や社会教育施設などで、犯罪をした者等に対する社会復帰支援策の紹介や相談場所などを紹介し、住民の理解を得て、協力意志のある住民に緩い専門家となってもらう。
 先述した課題と地域の役割を踏まえて、犯罪をした者等に対する社会復帰支援の具体的な支援策「家庭菜園プログラム」を提案する。

4.「家庭菜園プログラム」の提案
 「家庭菜園プログラム」とは、自治体が管理する一つの大きな土地を分割し、一人ひとりが隣接した小さな畑を借りて、周りの住民と一緒に野菜などを栽培していくプログラムである。職業としての農作業をするのではなく、栽培を通じて喜びや癒しを得ることや、地域住民との関わりを重視する。保護観察期間中から開始し、自身でコミュニティを築くことで息の長い支援の実現を目的とする。
@ 支援策の内容
 保護観察の開始後、生活予定の地域にある「共同農地」の一部の土 地と初めに育てる野菜などの苗を無償で提供する。周りの住民から栽培のアドバイスをもらうことや、収穫した野菜の交換などを通じ、日々の地域住民とのコミュニケーションを促す。地域住民の中に、社会復帰支援策の知識がある「緩い専門家」がいることで、畑での何気ない会話の中で必要な支援に気づくことや、相談に乗ることで、必要な支援を紹介することが可能になり、息の長い支援を実現する。
A 運営主体
 自治体が土地の管理をし、社会教育団体などの民間団体が栽培方法の講習や、参加者を募集する形で実施する。民間団体は家庭菜園や農業をしている地域住民との連携を、自治体は保護観察所と連携し、犯罪をした者がこの制度を知ることで、保護観察が決定次第、手続を進められるようにする。
B 期待できる効果
 このプログラムは、特に次の三つの効果が期待できる。
 一つ目は、自身が地域で築いたコミュニティの継続と拡大だ。家庭菜園を行うにあたり、栽培方法のアドバイスをもらうことや、自分の育てている作物についての会話をすることによって、自然と地域住民とのコミュニケーションが生まれ、信頼関係が形成される。さらに、作物によって収穫時期が様々であり、家庭菜園を一年中楽しむことができることに加え、毎日作物の世話をすることから地域住民と疎遠になることがなく、自らの力で得たコミュニティを継続していくことが可能になる。また、このプログラムを社会教育の一環としても行うことで、子どもから高齢者まで幅広い世代の人が社会復帰支援に参加し、犯罪をした者のコミュニティが拡大する。
 二つ目は、やりがいや達成感、成功体験を得られることだ。家庭菜園では、作物を育てる過程で多くの学びがある。例えば、作物を大切に扱うこと、試行錯誤すること、生命の儚さ、辛抱強く待つことの大切さなどである。野菜の栽培は一筋縄ではいかないことから成功すると食べられる喜びを感じることができるだけでなく、失敗した際にはアドバイスをもらい、次に活かすという過程を地域住民の力を借りて犯罪をした者自身が行うことで、成功体験へとつながる。これにより自己肯定感が高まり、積極的に社会復帰ができるようになる。松尾Dは、園芸活動において、五感で味わうことや体を動かすことで心地よさや快感といった本能的欲求が満たされることや、実際に育てた作物を褒められることで嬉しさや喜び、自信を得るといった創造的欲求が満たされることで、やる気や継続心を高めることができると述べている。犯罪をした者は、孤立感や逆境体験を有することから本能的・創造的欲求が満たされていない可能性があるため、園芸活動すなわち家庭菜園を行うことで本能的・創造的欲求を満たし、不安や怒りではなく、喜びと継続心を抱かせ、前向きな気持ちになるような経験が必要である。
 三つ目は、保護観察が終了しても、犯罪をした者自身が築いたコミュニティに助けを求められることだ。犯罪をする前のコミュニティとは関係が悪化してしまい相談できなくなってしまう場合や、犯罪をする前の居場所が犯罪を助長するような環境であり、社会復帰後に関わりを持つべきでない場合がある。そのような状況になったとしても、家庭菜園プログラムを通して自身の力で築いた信頼できるコミュニティには悩みを打ち明けることができる。さらに、このコミュニティには「緩い専門家」もいることから、犯罪をした者の様子を見て、地域住民から声をかけることも可能であるため、相談をしやすい横並びの関係性や息の長い支援が実現する。
 この三つの効果が得られた場合、犯罪をした者が悩みを抱えた時に犯罪や逃避という道を選ぶことなく周りに頼ることや、ストレスを抱えても癒しを得ることができる。気軽に相談することや、愚痴をこぼすことができる癒しの空間があることで、再犯を防ぐだけでなく、職業の継続も可能になると期待する。
C 「家庭菜園プログラム」の課題と解決策
 このプログラムを実施するにあたり、想定される課題三つとその解決策について言及する。
 一つ目は、犯罪をした者が、初めから多くの地域住民と関わることに抵抗感を抱く可能性があることだ。犯罪をした者が、すでに出来上がっている地域住民のコミュニティに入るという形では、肩身が狭く、居心地が悪い場所になることや、「自身でコミュニティを築く」という目的が達成できなくなる。そのため、初めのうちは地域住民がさまざまな時間に畑に行くように担当時間を決め、犯罪をした者がいつ畑に行っても2人程度と顔を合わせる状態にし、徐々に交流を図るようにすべきである。
 二つ目は、都会などでは家庭菜園をするための共同農地を用意することが難しいことだ。都会には、農地が少なくマンションや建物が多いことから、マンションの共有スペースなどでプランターを用いて家庭菜園を行う方法や、公園や公共施設の花壇を活用する方法が挙げられる。公共施設の花壇で実施する場合、一人ひとりの畑に加えて共同花壇を設け、みんなで花を育てることで社会に貢献しているという自信も得られることが期待できる。
 三つ目は、義務感が生じると欲求が満たされなくなる可能性があることだ。地域住民が手取り足取り教えることや、やるべきことを急かすこと、ノルマを設定することなどは犯罪をした者に義務感を抱かせてしまい、家庭菜園を楽しむことができなくなってしまう。松尾Dは、職業として作物の生産をすると達成感は得られても楽しさなどの喜びが味わいにくくなることや、手入れや環境の維持をしなければならないという義務感と強迫観念に責められて行う園芸には苦痛という不快感しか味わえないと指摘している。そのため、犯罪をした者のペースに合わせて栽培のアドバイスをすることや、育てた野菜の交換なども強制ではなく共通の楽しみとして行うなど、地域住民は一人ひとりが家庭菜園の楽しさを味わうことを第一に考えて、一緒に家庭菜園を楽しむことが重要である。

5.おわりに
 再犯者を減らすためには、社会的孤立を防ぐことが重要である。今回提案した「家庭菜園プログラム」では、犯罪をした者が地域住民と一緒に家庭菜園を楽しむことで、自らの力でコミュニティを築いていくことや、作物の栽培を通じて前向きな気持ちになることができ、困った時に自身が築いたコミュニティに助けを求められることが期待できる。社会復帰支援をする際には、犯罪をした者が気軽に相談できる横並びの関係性を築くことや、自然体でいられる癒しの空間を地域に持つことができるような働きかけを行い、地域全体で犯罪をした者への息の長い支援を実施できるようにすべきである。


(愛知教育大学教育学部 教育支援専門職養成課程  教育ガバナンスコース3年)

  1. @ 法務省(2023)『令和5年版 犯罪白書 -非行少年と育成環境-』p.250
  2. A 法務省(2019)「協力雇用主に対するアンケート調査」p.10
  3. B 堀田利恵・湯原悦子(2010)「高齢になって初めて犯罪に手を染めた女性犯罪者に関する研究(総説)」、日本福祉大学福祉学部『日本福祉大学福祉論集』、第123号、p.69-83
  4. C 法務省(2023)『令和5年版 犯罪白書 -非行少年と育成環境-』p.396
  5. D 松尾英輔(2017)「人と植物とのかかわりを探る(13)私たちを魅了する園芸の不思議パワー」、養賢堂『農業および園芸』、92巻2号、p.117-128

佳作
地域における再犯防止と有効性の検討
─重層的支援体制推進事業の活用─
大河原 希佳
 
 更生保護施設の職員から、万引きで捕まった高齢男性について、「更生保護施設の退所を予定しているが、再犯をしないか不安なため支援を希望している。」という相談が愛知県豊田市の福祉総合相談課へ寄せられた。豊田市は、重層的支援体制整備事業(社会福祉法第106条の4)を犯罪者の社会復帰支援として活用した。各種関係機関および豊田市独自の組織である「とよた多世代参加支援プロジェクト」が連携し、男性のニーズに応え「男性のカレンダーを予定で埋める」という方針のもと、支援を開始し、男性がその生涯を終えるまでの継続的支援を実現した。
 このプロジェクトは、住民の課題に対応できる既存の地域資源が無かった場合に新たな支援メニューを創出する民間の事業所により組織される。新しい支援を創出することで、犯罪者のニーズが満たされるだけでなく、これまで特定の関係機関にかかっていた負担や過度な社会資源の投下を軽減することが叶い、地域にとってもメリットとなる。同時に事業所側も労働力の確保が可能となる。このように、「犯罪者」「地域」「事業所」が互恵的関係を構築することで、犯罪者に対する長期的な支援が可能となる。重層的支援体制整備事業は、市町村の任意事業であり、再犯防止に特化した制度でないことから、事業実施の可否による地域格差があることや、専門的処遇には適さないこと等の課題は存在する。しかし、取組や経験を共有し、より良い事業運営に役立てながら、犯罪者の地域における居場所づくりを促進できる可能性を秘めた事業であろう。
 次いで、居場所づくりが再犯防止に有効か否かについてを、Good Lives Model(GL モデル)を参考に検討した。犯罪をしないという回避目標ではなく、良い人生を目指すという接近目標を立てることが、更生に向けての動機付けを高める上で一定の効果があると実証された研究も存する。居場所づくりによって接近目標の設定と達成を実現することが、地域が担うことができる最も効果のある再犯防止なのである。

(関西大学大学院法学研究科法学・政治学専攻修士2年)

佳作
職業定着と再犯防止を目的とするジョブローテーション
定藤 礼奈
 
 刑法犯検挙人員における再犯者人員は、平成19年以降減少が見られているが、その再犯者率はいまだに高く令和4年時点で47.9% である。再犯の原因の一つに職業の有無が影響しており、就労支援を改善することで再犯を防止できるのではないかと考えた。そこで就労支援の新しい形として、職業訓練に付け加えて行う「組合ジョブローテーション」を考案した。
 「組合ジョブローテーション」とは、社会人としてのルールを身に着けることや職場の雰囲気を学びキャリアに生かすこと、また職の定着を主な目的として、就職を希望する受刑者が短い期間で様々な職を経験し、経験した協力雇用主先で就職をすることができる制度である。対象者である受刑者には、就労支援サポーターが一対一で付き、就労後まで就労に関わる不安や悩みに寄り添い支援を行う。働きたい地域や職は自分で選択することができ、刑務所に在所しながらも実際に社会に出た時同様の体験が可能である。
 現在の職業訓練では就職をしても長く続かず、また、職業訓練で得たスキルをキャリアに生かすことができていないことが課題となっている。「組合ジョブローテーション」では、刑務施設を出て社会の一員として働く練習ができるため、働く前と後でギャップが生まれることは少ない。さらには、そのまま就職することができるため、ここで得た経験をそのまま社会で生かすことができる。ジョブローテーションで得た人脈やその企業の空気感などを知った上で自分が希望する先で働くことができるのである。この制度では、ジョブローテーション委員会を設立し、その中で生活をすることを想定している。ここでは、就労支援サポーターが就労を専門的にサポートするため、充実した支援により持続的に働くことが可能である。

(愛知教育大学教育学部教育支援専門職養成課程教育ガバナンスコース3年)

佳作
空き家を利用した住居提供の取り組みの提案
井畑  皓
 
 令和5年版犯罪白書によると、令和4年の刑法犯検挙人員における再犯者率は47.9% であり、刑法犯検挙者の約半数が再犯者という状況にある。特に、令和3年版再犯防止推進白書によると、令和元年の出所受刑者の2年以内再入率は、仮釈放者が10.2% であるのに対して、満期釈放者は23.3% となっており、満期釈放者の再犯防止こそが重要である。それに対して、政府は、令和元年に再犯防止推進計画加速化プランを策定し、主に満期釈放者の相談支援等の充実強化を目標とした。その結果、満期釈放者の相談支援等の2年以内再入率は漸減したが、仮釈放者のそれと比較して依然高い割合となっているため、満期者釈放者に対する社会復帰支援は十分ではなく、さらに発展的な取組が必要である。
 そこで、「空き家バンク」を利用した「協力賃貸主」制度の創設を提案する。空き家を利用し、刑事施設出所者の帰住先を確保すれば、再犯を防止することができるとともに、我が国が抱える空き家問題の解消にも一役買うことが可能である。まず、地方自治体が空き家を調査し、賃貸・売却・協力賃貸主の希望を所有者に確認する。それに基づいて空き家情報を自治体のサイトに掲載し、刑事施設、更生保護施設等にも共有することで、施設出所前の段階で出所後の帰住先を探すことができる。協力賃貸主に対しては、@保護観察所に本人との接し方、配慮すべき事項に関して相談できる制度、A補助金の支払い、B買い物優待カードの配布の3つからなる支援制度を整備し、協力賃貸主になる人を確保する。この制度の導入にあっては、地方自治体が主体となり、地域において刑事施設出所者を迎え入れる気運を高めるために、地域住民への説明や理解を喚起する働きかけを行うべきである。

(愛知教育大学教育学部学校教員養成課程義務教育専攻社会専修3年)