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犯罪白書
平成25年版犯罪白書を読んで
伊藤 康一郎
はじめに「平成25年版犯罪白書を読んで」と題する本稿では,そのルーティン部分(第1編から第5編)について,近年,刑事政策的な視点から注目される, @犯罪の動向(平成14年をピークとする犯罪の増減をどう説明するか),A犯罪者の処遇(再犯者率や再入者率の上昇傾向にどう対応してゆくか), B被害者への配慮(「加害者指向から被害者指向へ」の動向の中で白書を読む)という3個の論点を順次検討してみたい。
T.犯罪の動向
刑法犯認知件数は,平成8年に246万5,503件と戦後最多を記録すると,その後は毎年,戦後最多を更新することになり,平成14年には369万3,928件と増加のピークに達した。しかし,その翌年の平成15年からは一転して減少に向かい,平成24年には201万5,347件となり,10年連続の減少を記録するに至っている。
このごく短期間における,ジェットコースター型とも称される犯罪の急激な増加と減少は,我が国の刑事政策の大きな関心事となり,その増加や減少の原因について各種の見解が提示されてきている。
本稿では,その提示された各種の見解を分析するため,@その増減は現実のものであるのか,すなわち「実体」として存在するのか,あるいは,ただ統計上の見掛けだけにすぎないのか,すなわち「仮構」であるのかという視点と,Aその増減は,犯罪を発生させる「犯行者」(いまだ犯罪を行っていないが将来犯罪を行う可能性を持つという意味での「潜在的な犯行者」を含む。)側の変化に起因するものか,あるいは,犯罪を統制する「刑事司法機関」側の変化に起因するものかという視点の,2個の軸による図式を立て,検討を試みる〔図1〕。
まず,このジェットコースター型の増減の前半期,すなわち,平成14年までの急増の理由については,「掘り起し効果」説と「現実の増加」説とでも名付けられる,対立的な見解が提示されている1)。
前者の「掘り起し効果」説は,平成14年をピークとする刑法犯認知件数の急増が,統計学的に見てあまりに特異であり,社会的な現実の変化だけでは説明できない(すなわち「仮構」的なものである。)という点を立論の出発点とし,その増加の主因を同時期の「刑事司法機関」側の変化に求める2)。
そこで挙げられる「刑事司法機関」側の変化とは,平成11年の桶川ストーカー殺人事件等に関する警察の対応への批判を受けて,その後打ち出された,被害者からの相談への対応や被害届の受理の積極化という,警察の方針転換である。この見解によれば,そうした警察の対応の変化が,それまでであれば埋もれていた被害を「掘り起し」たのであり,この時期の認知件数の増加は,「刑事司法機関」側の「掘り起し」という対応の変化により作り出された,被害発生の現実を反映しない「仮構」的なものにすぎないということになる(この見解は,〔図1〕ではCにあたる。)。
それに対して,後者の「現実の増加」説は,平成14年までの急増という傾向が,そうした「刑事司法機関」側の対応の変化が生じる前から始まっていたことを理由に,この時期の増加の多くは,ただ統計上の見掛けだけでなく「実体」的なものであるとする。その増加の原因は,多くの場合,同時期の社会的・経済的な動向に影響された「犯行者」側の変化に求められる(〔図1〕の@にあたる。)。すなわち,この見解によれば,平成14年までの刑法犯認知件数(特にその過半数を占める窃盗の認知件数)の増加は,同時期の社会的・経済的な動向(特に失業率の上昇)の影響により,犯行に至る者が増加したことによる,と説明されることになる3)。
以上のごとく,このジェットコースター型の増減の前半期に関わる見解の攻防においては,おそらくは伝統的な見解であろう「実体」説に対して,新興の「仮構」説が攻撃を加えるという構図が見られた。
ジェットコースター型の増減の後半期,すなわち平成15年以降の急減についても,これと同じ構図の見解の対立は存在する4)。まず,前半期の「現実の増加」説は,後半期については当然に「現実の減少」説となる。しかし,前半期については妥当したように見えた社会的・経済的な変動による説明は,失業率の高止まりにもかかわらず,犯罪は減少を続けるという(この見解にとっては想定外の)推移によって,維持することが難しくなっており,他の何らかの説明の方法を追求することが必要となる5)。
また,前半期の「掘り起し効果」説は,後半期についても〔図1〕における「刑事司法機関」側に起因する「仮構」説を一貫させるならば,「掘り起し」とは逆の効果を発揮する別の要因を探究する必要がある。そうした要因としては,例えば,窃盗の余罪捜査の在り方が変化したことが挙げられることもある。
後半期における刑法犯認知件数の減少は,刑法犯認知件数の過半数(平成24年は51.6%),一般刑法犯においては大半(75.3%)を占める,窃盗の認知件数の減少によるところが大きい。窃盗の認知件数は,平成14年に237万7,488件と戦後最多を記録したが,平成15年から連続して減少し,平成24年は104万447件となり,平成14年と比べて133万7,041件(56.2%)減少している。
『平成24年版犯罪白書』には,窃盗の検挙人員一人当たりの検挙件数の推移が上げられているが,その検挙件数は,昭和61年から平成11年まで,ほとんどの年で3.0を上回っていたのに対し,平成12年以降は大きく低下し,平成22年からは2.0を下回っている。この推移の一因が,窃盗の余罪捜査を徹底する余裕がない等の「刑事司法機関」側の活動の変化にあるとするならば,後半期における窃盗の認知件数の減少の幾分かは,割り引いて考えられるべきことになる。
さらに,この後半期については,〔図1〕における@の「犯行者」側に起因する「実体」説や,Cの「刑事司法機関」側に起因する「仮構」説だけでなく,Aの「刑事司法機関」側に起因する「実体」説も登場してくる。この見解は,警察,検察,裁判,矯正・更生保護と続く「刑事司法機関」の活動の成果により,「実体」としての犯罪の発生が抑えられ,それが統計上の認知件数の減少を生んだと説明する6)。
犯罪減少の傾向は,じつは,日本だけの現象ではない。欧米諸国においても,近年,全般的に犯罪減少(crime drop)の傾向が顕著である7)。特にアメリカにおいては,この減少の理由を探る研究が進んでおり,人口動態(全人口に占める若年成人男子の割合等),経済状況(特に失業率),薬物問題,銃規制,警察活動,刑務所人口など,犯罪の増減に関わる多くの要因が検討されてきている8)。
これまで日本や欧米の研究で取り上げられてきた,犯罪増減の要因を〔図1〕の各カテゴリーに当てはめてみると,@「犯行者」側に起因する「実体」説─人口動態の変化(アメリカの1990年代の犯罪減少はベビー・ブーマー仮説,すなわち犯罪適齢期の人口の減少により説明された。日本では少子高齢化が問題となる。),経済状況の変動(特に失業率),その他の社会的変化,A「刑事司法機関」側に起因する「実体」説─警察力の増強(警察官の増員等),警察活動の転換(例えば「破れ窓」(broken windows)理論型の活動の展開),刑務所人口の増加(特にアメリカの場合,刑務所に大量に拘禁することにより外の社会での犯行が防がれる効果),矯正・更生保護による社会復帰プログラムの改善,B「犯行者」側に起因する「仮構」説─該当なし,C「刑事司法機関」側に起因する「仮構」説─埋もれていた被害の掘り起し(被害者からの相談への対応や被害届の受理の積極化)といった配置が考えられる。
1990年代より長期に渡って犯罪が減少してきたアメリカでは,この減少が下げ止まり,2011年,2012年と連続して,暴力犯罪と財産犯罪が共に増加に転じた9)。日本において,現在のような減少がどこまで続いてゆくのかは,そもそも,その減少の原因が確定されていない時点では,予測が困難である。おそらく,その減少(あるいは増加)は単一の要因によって説明されるものではなく,多数の要因による複合的な説明を要するものであろうが,その多数の要因がどう組み合わさり,結果としての犯罪の増減を生み出しているのか,そのメカニズムを解明してゆくことが必要であると思われる。
U.犯罪者の処遇
我が国の刑法犯認知件数が減少を続ける中,犯罪者への対策上,目立ってきている問題が,検挙人員に占める再犯者や刑務所入所受刑者に占める再入者の「比率」の上昇傾向である。犯罪白書においても,平成19年版「再犯者の実態と対策」,平成21年版「再犯防止施策の充実」,平成24年版「刑務所出所者等の社会復帰支援」と持続的に,この問題に関する特集が組まれている。
一般刑法犯により検挙された「再犯者」は,平成9年から増加を続けていたが,平成18年の14万9,164人をピークとして,平成19年から減少傾向にあり,平成24年は13万77人となった。しかし,これに対して「再犯者率」の方は,平成8年の27.7%を底に,平成9年から一貫して上昇を続け,平成24年は45.3%にまで至っている。これは,再犯者は減少しているが,それ以上に,初犯者が減少しているため,再犯者率が継続的に上昇していることを示している。
入所受刑者における「再入者」は,平成11年から平成18年まで増加した後,わずかながら減少傾向にあり,平成24年は1万4,505人となった。これに対して「再入者率」は,平成15年の48.1%を底に,平成16年から毎年上昇を続け,平成24年は58.5%となった。ここでも,入所受刑者全体の人員が減少する中で,再入者の人員が横ばいを続けているため,再入者率が上昇を続けているという,「再犯者」と「再犯者率」の場合と同様の状況が示されている。
この再犯者と再入者の双方の状況に見られるのは,犯罪の動向や犯罪者の処遇の全般的な好転にもかかわらず,犯罪を繰り返し,刑務所への入所を繰り返す人々が,一定数のコアな部分となり,改善更生の道から取り残されている事実である。
このコアな部分の一方の極には,組織的・非組織的な職業的犯罪者群が存在するが,他方の極には,知的障害者・高齢者に代表される,「弱者」としての犯罪者とでも言うべき犯罪者群が存在する。刑事政策的に,現在特に関心が集中している後者の「弱者」としての犯罪者とは,社会的な孤立等の理由により軽微な犯罪(万引き,無銭飲食等)を繰り返し,その初期の段階で適切な介入が行われない結果,やがては刑務所に収容されるに至り,しかもその段階でも適切な介入が行われない結果,出所後もさらにまた,その悪循環のサイクルを繰り返してしまうという一群の人々の存在を指している。
これは,刑事司法の制度が,本来は福祉的な制度の対象となるべき人々の受け皿となってしまっているという,欧米の犯罪学でいう「犯罪政策の福祉政策化」,あるいは「福祉政策の犯罪政策化」が日本においても進行していることを示すものである。
こうした悪循環のサイクルを断つためには,@刑務所収容前の段階で,刑事司法から福祉への架橋を図る方策と,A刑務所収容後の段階で,釈放後の福祉への受渡しを図る方策が考えられる。
白書では,まず,@の刑務所収容前の段階における方策に当たる,知的障害の疑いのある被疑者等,福祉的支援を必要とする者に対する検察庁の取組として,長崎,大津,仙台等の各地方検察庁における実践(厚生労働省により各都道府県に整備された地域生活定着支援センターと連携し,福祉の専門家による委員会の意見を踏まえた上で,福祉的支援に橋渡しすることを前提とした,起訴猶予処分をしたり,起訴された者について保護観察付執行猶予を求刑する。)や,東京地方検察庁における運用(社会復帰支援準備室を設置して社会福祉士を配置し,福祉の視点でアドバイスを行うとともに,適宜,福祉的サービスに橋渡しする。)が提示されている(160頁)。
また,Aの刑務所収容後の段階における方策に当たるものとしては,高齢または障害を有し,かつ,適当な帰住先がない受刑者に対する法務省の取組である「特別調整」(厚生労働省と連携して,釈放後速やかに,適切な介護,医療等の福祉サービスを受けることができるようにするための取組。その取組の中心になるのは地域生活定着支援センターであり,司法と福祉との多機関連携による支援が行われる。)が提示されている(62頁)。
司法と福祉の連携により,こうした「弱者」としての犯罪者の再犯を防止し,社会復帰を支援することは,犯罪を繰り返す人々の少なくとも一方の極の減少に繫がる試みであり,その多機関連携の今後の成果が期待される。
V.被害者への配慮
1960年代の欧米諸国における犯罪被害補償制度の創設に始まる「加害者指向から被害者指向へ」の動向は,その後,刑事司法の全領域を巻き込む世界的な動向となった。日本でも特に2000年以降,各種の立法が行われるようになり,「被害者への配慮」は刑事司法において実現すべき重要な課題として定着するに至っている。
犯罪の「被害者」という語は,犯罪白書の創刊号に当たる昭和35年版の目次に,すでに現れている。「被害者側からみた犯罪原因」と題するその項目では,「いわゆる犯罪原因の研究の一環として,また,犯罪科学のあらたな分野として,最近において,いわゆるヴィクティモロジー(被害者学)が進出しつつある」という紹介が行われている。その後,白書の目次には「少年犯罪の被害者等」(昭和42年版)や,「交通犯罪の被害者をめぐる問題」(昭和43年版)といった形で「被害者」という語が散見されるが,その被害者に対する関心はおおむね,被害者学の基礎を作ったハンス・フォン・ヘンティッヒ(Hans von Hentig)の「被害者傾向」(victim proneness)10)や,ベンジャミン・メンデルソーン(Benjamin Mendelsohn)の被害者の「有責性」(culpabilité)11)のコンセプトに見られる「犯罪原因としての被害者」に向けられたものであった。
この関心が,「加害者指向から被害者指向へ」の動向の中で,「被害者への配慮」の方向に変化する様子は,同じく犯罪白書の目次を追ってみれば,「生命・身体犯の動向」において,その「被害の実態」に関する調査結果を報告し,犯罪被害者補償制度の重要性を提起した,昭和51年版の犯罪白書に表れている。昭和55年の犯罪被害者等給付金支給法の制定後,昭和58年版には「通り魔犯罪」における「被害者の救済」の項目が見え,同法の運用状況が紹介されており,後続の版では,その運用状況に関する項目が常置されるようになった。さらに平成11年版では,初めて目次に「被害者への配慮」という語が現れ,刑事司法の各段階における被害者への施策が紹介されるようになり,以降,被害者を支援する実務の活動や立法の進展につれ,その動向に関する解説が拡充されてきている。
本年度の白書でも,第5編「犯罪被害者」の第1章「統計上の犯罪被害」に続き,第2章「刑事司法における被害者への配慮」の第1節「刑事手続における被害者の関わり」において,刑事司法の各段階における取組が説明され,第2節「犯罪被害者に対する給付金の支給制度等」において,犯罪被害者等給付金の支給状況が紹介されている。
刑事政策的な視点から見て,「被害者への配慮」の中には,例えば犯罪被害者等給付金のような,財政上の問題等を除けば,その充実についてほとんど異論のない制度と,最近発足した被害者参加制度のような,被告人の権利と被害者等への配慮のぶつかり合いという点で,議論のある制度がある。
白書によって,その被害者参加制度の実施状況を見ると,平成22年(実施初年の平成21年は5月21日から12月31日までの数なので除く。)と最新の平成24年の比較では,被害者参加の数自体は839人から1,000人に増えたものの,そのうち増えたのは「論告・求刑」の428人から479人と「弁護士への委託」の557人から675人だけで,残りはすべて減っている。実施後間もない制度なので,現時点で今後の展開を予測することは不可能であるが,その制度の是非について,議論のための一次的な資料を多くの人に提供するという点で,白書によるこのようなデータの掲載は重要な意味を持っている。
おわりに
近年の犯罪の動向として一番に注目されるのは,平成14年をピークとするジェットコースター型の犯罪の増減である。 その増減の原因は現時点では不確定であるが,平成15年以降,現在に至るまで続く犯罪の減少の中でも,なお,犯罪を繰り返し,刑務所への入所を繰り返す人々が, 一定数のコアな部分となり,改善更生の道から取り残されているという事実もある。そのコアな部分の一方の極をなす,知的障害者・高齢者等の「弱者」としての犯罪者に対応する司法と福祉の連携は,現在最も期待される刑事政策的施策の一つである。 犯罪白書は,そうした犯罪の動向や犯罪者の処遇に関する論点を検討する上で,基礎的な材料を提供するものであるが,刑事政策の全領域における「加害者政策から被害者政策へ」の動向の中で,被害者に向けられる関心の時代的な推移に合わせて,最新の情報を伝達する役割も果たしてきた。 我が国の刑事政策を考究してゆく上で,その礎石となる犯罪白書への期待は,今後,ますます高まってゆくものと思われる。
(中央大学法学部教授)
1)この見解の対立を簡潔にまとめたものとして,山佳奈子「平成23年版犯罪白書を読んで─治安の暗転と好転と─」法律のひろば65巻1号(2012年)4−7頁参照。
2)その代表的な論考として,浜井浩一「日本の治安悪化神話はいかに作られたか─治安悪化の実態と背景要因(モラル・パニックを超えて)」犯罪社会学研究29号(2004年)10−25頁。
3)平成14年をピークとする犯罪の増減において,注目されるのはやはり,刑法犯認知件数の過半数,一般刑法犯においては大半を占める窃盗である。この点,「掘り起し効果」説では,その掘り起した犯罪として主に「軽微な暴力犯罪」に焦点が合せられているので,そのほかの犯罪,特に窃盗等についても何かしらの波及的な効果があったのか,検討の余地がある。
4)この急減について,犯罪社会学の観点から検討したものとして,犯罪社会学研究38号(2013年)の特集「犯罪率の低下は,日本社会の何を物語るのか?」参照。
5)土井隆義は,本稿の〔図1〕でいう「犯行者」側に起因する「実体」説の立場から,特に少年犯罪の減少の原因として,@社会的緊張の弛緩(かつて少年犯罪の促進要因であった学歴アノミーが,大学全入時代の到来により緩和された。)と,A逸脱文化の学習機会の喪失(世代間対立の終結により,大人社会に対する反動形成としての非行グループが弱体化した。)を挙げる。前掲注4)の特集中,「後期近代の黎明期における少年犯罪の減少─社会緊張理論と文化学習理論の視点から」78−96頁参照。
6)前半期の「掘り起し効果」説の代表的な主張者である浜井浩一は,後半期の減少について,@2003年以降の警察の取組みの変化が,特に自動販売機ねらい,車上ねらい,自転車盗,バイク盗等の街頭犯罪の(「実体」的な)減少に大きな役割を果たしたことを挙げると同時に,A警察の取組みの変化に伴い,街頭犯罪の認知件数の削減が数値目標として設定されたことにより,その数値目標が一人歩きして,認知件数を(「仮構」的に)減らす集計上の「創意工夫」が生み出されたことも指摘している。@は「刑事司法機関」側に起因する「実体」説的な説明,Aは「刑事司法機関」側に起因する「仮構」説的な説明となる。前掲注4)の特集中,「なぜ犯罪は減少しているのか」53−77頁参照。
7)Jan Van Dijk, Andromachi Tseloni, and Graham Farrell, eds., The International Crime Drop: New Directions in Research. Basingstoke: Palgrave Macmillan, 2012.
8)Alfred Blumstein and Joel Wallman, eds., The Crime Drop in America, 2nd edn. New York: Cambridge University Press, 2006. 同書初版の紹介として,影山任佐「The Crime Drop in America(「なぜアメリカの凶悪犯罪は減少したのか?」)」犯罪学雑誌71巻2号(2005年)52-59頁。また次を参照。Franklin E. Zimring, The Great American Crime Decline. New York: Oxford University Press, 2007.
9)司法省司法統計局の「全国犯罪被害調査」(National Crime Victimization Survey)による。Jennifer Truman, Lynn Langton, and Michael Planty, Criminal Victimization, 2012. Washington D. C.: U. S. Department of Justice, Bureau of Justice Statistics.
10)Hans von Hentig, The Criminal and His Victim. New Haven, CT: Yale University Press, 1948.
11)Benjamin Mendelsohn, “Une nouvelle branche de la science bio-psycho-sociale: la victimologie,” Revue Internationale de Criminologie et de Police Technique, vol.10, 1956, pp.95-109.