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再犯防止対策の推進に向けた犯罪白書への期待─ 令和2年版犯罪白書を読んで─
原田 豊
1 はじめに
 令和2年犯罪白書は,その「はしがき」において,わが国の犯罪情勢が全体として改善傾向にある中で,「満期釈放等による出所受刑者の再入率は仮釈放による出所受刑者よりも相当に高い状態で推移しており,再犯防止対策のさらなる充実強化が求められている。」と指摘している。そこで,本稿では,同白書のルーティン部分のうち,特に「第5編再犯・再非行」に焦点を絞って,その意義と今後の課題について論じたい。

2 平成28年版白書の特集とその継承
 犯罪白書において,再犯・再非行に関する記述が「第5編」として独立したのは,平成28年版からである。このなかでは,新たな第5編が「再犯・再非行〜再犯の現状と対策のいま〜」と題する特集として位置づけられ,その冒頭の「はじめに」のなかで,平成24年に策定された「再犯防止に向けた総合対策」の見直しの時期を翌年に控え,「同総合対策の見直しに向けた検討に資する基礎資料を提供するため,再犯の動向について各種統計資料を使って多角的な分析を行うとともに,現在実施されている再犯防止のための施策・取組やこれまで法務総合研究所が行ってきた調査研究から得られた知見を整理して概観することとした。」と述べられている。
 同年の本誌の論説において,岡邊(2016)は,平成28年版の同白書がこの特集を組んだことを高く評価するとともに,「とりわけ矯正施設の再入に関するデータについては,可能な限り本特集と同等以上の公表と分析を,今後も(できれば毎年,少なくとも数年おきに)継続していくことを強く希望するものである」(岡邊 2016:H28.12 54巻1号 14ページ)と述べている。
 実際,これ以降の犯罪白書では,「第5編 再犯・再非行」がルーティン部分に組み入れられ,毎年の新たなデータが追加記載されるようになった。また,特に令和元年版の犯罪白書では,この第5編が「平成における再犯・再非行」の表題の下に拡充され,平成11年の出所受刑者の20年以内の再入率(5-2-3-6図),平成8年の少年院出院者の5年以内の再入院・刑事施設入所者率(5-2-5-3図)など,他の年の白書には含まれない資料も掲載されている。このように,再犯率に関する「前向き(prospective)」なデータの掲載が近年の犯罪白書に定着してきたことは,大いに有意義なことだと思われる。

3 令和2年版白書の「第5編」の意義と課題
 令和2年版の犯罪白書でも,第5編全体を「再犯・再非行」に充てるという構成が踏襲されており,「第1章 再犯防止対策の概観」「第2章再犯・再非行の概況」の2つの章立てで最新の情報が提供されている。
 まず,「第1章 再犯防止対策の概観」では,平成24年度の「再犯防止に向けた総合対策」,平成28年度の「再犯防止推進法」などに基づく近年の取り組みが紹介され,特に,平成26年の「宣言:犯罪に戻らない・戻させない〜立ち直りをみんなで支える明るい社会へ」のなかで,2020年(令和2年)までに達成されるべき数値目標として示された,@協力雇用主の数を3倍にする,及び,A帰住先のない出所者の数を3割以上減少させるという目標が,いずれも令和元年度までに達成されたことが示されている。
 その一方で,特に満期釈放者について,「2年以内再入率が仮釈放者と比較して2倍以上高い」ことが指摘され,これに対する重点的な取り組みを進めるために,令和元年12月に,犯罪対策閣僚会議により「再犯防止推進計画加速化プラン〜満期釈放者対策を始めとした“息の長い”支援の充実に向けて〜」が決定されたことが示されている。
 続いて,「第2章 再犯・再非行の概況」では,第1節から第3節の1項までで,検挙,検察・裁判,矯正のそれぞれの段階での再犯者,有前科者,再入者などの状況及びその推移が概観された後,第3節2項及び3項において,平成28年版の特集を継承する形で,出所受刑者の再入所状況およびその推移に関する検討が行われている。それによれば,令和元年時点での5年以内再入率(平成27年出所者)は37.5%,10年以内再入率(平成22年出所者)は44.7% であった。また,これを出所事由別にみると,5年以内再入率・10年以内再入率とも,「満期釈放者は,仮釈放者よりも再入率が相当高い」(5-2-3-6図)こと,入所度数別では,入所度数が多いほど再入率は高く,「特に入所度数が1度の者(初入者)と2度の者の差は顕著である」(5-2-3-7図)ことが指摘されている。出所受刑者の再入率の推移に関しては,平成11年以降,出所後2年以内・5年以内の再入率は,全体では微減傾向であること(5-2-3-9図),男女差は縮小傾向であり,高齢者ほど再入率が高い傾向があること(5-2-3-10図から)などを示すデータが掲載されている。
 さらに,第5節3項「少年院出院者の再入院等の状況」においても,「少年院出院者 5年以内の再入院率と再入院・刑事施設入所率」(5-2-5-3図)並びに「少年院出院者 再入院率と再入院・刑事施設入所者の推移」(5-2-5-4図)が掲載され,これも平成28年版白書の特集で新たに導入されたこれらのグラフが継承され,令和元年現在のデータによって更新されている。
 以上のように,「再犯者率」(検挙等された者の中に,過去にも検挙等去れた者がどの程度いるのかを見る指標)とは区別された意味での「再犯率」(犯罪により検挙等された者が,その後の一定期間内に再び犯罪を行うことがどの程度あるのかを見る指標)に関する情報が,各年の犯罪白書のルーティン部分の記事として継続的に掲載されるようになったことは,再犯・再非行の防止を客観的データに基づいて推進するための一つの基盤として,大きな意義のあることである。その半面,⑴「再犯」の有無がもっぱら刑事施設などへの「再入」で測られていること,⑵刑事施設などからの出所時・再入時の区分が1年という粗い単位であるため,特に出所後1年以内の時期についての再犯率の測定が困難であること,⑶これとも関連し,仮釈放者について,仮釈放中の期間とその後の期間での再犯率の違いの検討ができないことなど,従来から犯罪白書の課題であった問題点は,令和2年版白書においても,依然解消さていない。特に,上記⑶の点は,今後,平成28年7月に施行された「刑の一部執行猶予」制度が,これによる出所者の再犯状況にどのように影響するかを検討するためにも,改善が強く求められる点だと考えられる。
 加えて,前述の岡邊も指摘するとおり,コックス回帰分析などの手法により「再入を左右する複数の要因を組み合わせた検討」(岡邊 2016:前掲同 13ページ)を行うことも,今後に向けた重要な課題の一つになると考えられる。
 そこで,以下では,コックス回帰分析を含む「生存分析」の手法を出所者の再犯の分析に実際に応用した筆者の分析事例に基づき,そこから得られた知見とその含意について論じたい。

4 「子ども対象・暴力的性犯罪の出所者」の再犯等に関する分析
 この分析は,筆者が科学警察研究所に所属していた平成22年(2010年)に行ったもので,その5年前にあたる平成17年に法務省から警察庁への供与が開始された,子ども対象の暴力的性犯罪による受刑者の出所情報によって実施した分析である。分析に用いたデータは,法務省から供与された出所者のデータに含まれる740人のうち,女性(2人),事実上再犯が不可能と考えられる者(5人),を除外した733人分のデータである。これを警察庁の検挙データと結合することにより,出所者の性的犯罪による再検挙の程度,及びそれに影響する要因について検討した。
 分析内容と主要な結果は以下のとおりである。
4-1 出所者の再検挙率について
 カプラン・マイヤー法により,出所者の「生存時間」(=出所後再検挙までの日数)及び出所後5年間に再検挙される者の比率を推定した。結果は以下のとおりである。
⑴ 本分析の対象となった出所者のうち,出所後5年間に再検挙される者の比率は,24% 程度と推定される(図1)。

図1 出所後5年間の,性犯再検挙者率の推移(分析対象者全員:733人)


⑵ 上記の比率は,出所時年齢によって違いがあり,出所時20歳代だった者では35% 程度,30歳代だった者では31% 程度,40歳代だった者では26% 程度,50歳代だった者では10% 程度,60歳代以上だった者でも9% 程度と推定される(図2)。
⑶ この比率は,満期出所者と仮釈放者とでも異なっており,満期出所者では29% 程度,仮釈放者では18% 程度と推定される(図3)。
⑷ 満期出所・仮釈放別に見た性犯再検挙者率は,出所後の早い時期に,特に差が大きい。図4は,このことを示すために,図3のグラフから出所後1年間の部分だけを抽出して表示したものである。
4-2 再検挙の可能性の大小と関連する要因について
 分析に用いたデータに含まれる調査項目のなかから,再検挙の可能性との関連が予想されるものをいくつか選び,これらについて,「コックス回帰:比例ハザードモデル」を用いた分析を行った。結果は以下の

図2 出所後5年間の,性犯再検挙者率の推移(出所時年齢層別)



図3 出所後5年間の,性犯再検挙者率の推移(満期・仮釈別)



図4 出所後1年間の,性犯再検挙者率の推移(満期・仮釈別)


とおりである(表1)。
⑴ 出所時年齢が高いほど,その後の再検挙の可能性は小さい。出所時年齢が1歳高くなると,再検挙の可能性が約3.6% 低下する。
⑵ 施設収容期間の長さは,出所後の再検挙の可能性の大小と無関係である。
⑶ 仮釈放者は,満期出所者に比べて,再検挙の可能性が相対的に小さい。仮釈放者の再検挙の可能性は,満期出所者よりも約48% 低いと見られる。見方を変えれば,満期出所者)は,仮釈放者に比べて,再検挙の可能性が2倍近い高さであると見られる。
⑷ 仮釈放者の再検挙の可能性は,仮釈放期間中は,満期出所者や仮釈放期間終了後と比べて,再検挙の可能性が約65% 低い状態に保たれる。しかし,仮釈放期間が終了すると,再検挙の可能性が,それ以前よりも3倍近くにまで高まる可能性がある
⑸ 出所後間もない時期には,上記⑶と⑷の効果が相乗的に作用するため,仮釈放者と満期出所者との再検挙の可能性に,きわめて大きな違いが生じると考えられる。出所後間もない時期については,満期出所者の再検挙の可能性が,仮釈放者と比べて約5.5倍程度高い水準にあると見られる。

表1 比例ハザードモデルによる分析の結果


4-3 分析結果を踏まえた考察
 上記の分析結果は,満期出所者の再検挙の可能性の(仮釈放者と比べた)相対的な大きさを,強く示唆するものだと考えられる。仮釈放者と満期出所者との違いに関して特に注目されることは,出所後間もない時期には,@両者の間の長期間にわたる差異と,A仮釈放期間中に限定された,仮釈放の再犯抑止効果とが,相乗的に作用すると考えられることである。この@Aの相乗効果により,出所後間もない時期には,満期出所者の再検挙の可能性が,仮釈放者と比べて約5.5倍程度高い水準にあると見られる。
 ただし,上記の分析結果は,あくまでも,出所者の再検挙データのうち,最初の出所から,その後の最初の再検挙までの情報だけしか扱っていない。また,再検挙の可能性に影響することが予想される変数も,ごく限られたものだけしか考慮していない(たとえば,過去の犯罪歴は,再検挙のない者についての情報が未収集のため,上記の分析には含めていない。)。
 特に,過去の犯罪歴に関しては,少年期の非行歴までも含めて検討しなければ,意味のある分析にはならないと考えられる。実際,欧米諸国の先行研究では,初回非行時の年齢が低い者ほど,その後の非行・犯罪の反復傾向が高いことが,繰り返し実証されている。
 さらに,上記の分析対象者の(性犯罪による)再検挙率が,たとえば,年少者対象でない性犯罪の出所者と比べて高いのか低いのかも,彼らに関するデータとの比較をしなければわからない。
 このように,上記の分析は,まだ多くの制約や要検討事項を含む,暫定的なものと言わざるを得ない。その一方で,法務省から供与された出所者情報と,警察の保有する犯歴情報とを組み合わせ,生存分析の手法による分析を行ったことにより,これまで客観的なデータに基づく議論が困難だった諸問題に,新たな角度から一石を投じることが可能になったと思われる。
 なお,この分析と同様の,法務省から供与された出所者情報を用いた分析は,その後,齊藤・山根(2018)によっても実施されている。

5 結びに代えて
 本稿では,令和2年版犯罪白書のルーティン部分のうち,とくに第5編「再犯・再非行」に焦点を当て,平成28年版白書で特集記事の一環として導入された再犯率に関する「前向き(prospective)」な分析が,その後も引き継がれ,同白書のルーティン部分に定着してきたことを指摘した。あわせて,こうした分析が今後のわが国の再犯防止の取り組みの基盤として大きな意義を持つと同時に,なお克服すべき課題も存在することを,筆者自身による分析事例を踏まえて論じた。
 本稿の最後に,わが国における再犯・再非行対策のさらなる進展のためには,成人のみならず少年についても,法務省や家庭裁判所などの所管する情報と,警察の所管する情報との連携が必要であることを指摘したい。かつて筆者は,犯罪・非行経歴の縦断的分析の動向に関する論稿の中で,「警察のデータを法務省などのデータと接合することができれば,施設収容や保護観察など,犯罪・非行行動のパターンに必然的に関連すると考えられる要因を考慮に入れた分析が可能になるはずである」と述べた(原田 1999:162ページ)。それから10年余の歳月を経て,前述の「子ども対象・暴力的性犯罪の出所者の再犯等に関する分析」で,成人の再犯については,法務省のデータと警察庁のデータを接合した分析が,わが国で初めて実現した。しかし,少年については,このような省庁の垣根を超えたデータ連携が実現した例は,筆者の知る限り,いまだに存在しない。平成29年末に策定された「再犯防止推進計画」において,30年度からの5年間に関係府省庁が取り組むこととされた「5つの基本方針」の中で「犯罪等の実態,効果検証・調査研究の成果等を踏まえた」効果的な施策の実施が掲げられていることに鑑み,特に再犯・再非行の問題の科学的検討にとって必要不可欠な,犯罪・非行経歴の「前向き(prospective)」な分析と,その素材となる情報の省庁横断的な共有が実現することを,切に願ってやまない。
(立正大学法学部教授)

1 再犯者率・再犯率に関するこれらの説明は,平成28年版犯罪白書の特集に掲載されたコラムの記事(法務省法務総合研究所 2016:210ページ)による。
2 生存分析とは,例えば,医学の部門で,ネズミに有害物質を投与しながら経過を観察し,投与開始からネズミが死亡するまでの期間をもとに,その物質の毒性の程度を明らかにするなどの研究のために,広く用いられている統計的分析手法である。
 このような研究を行う場合,経過観察を無限に続けることはできないから,ある時点で観察を「打ち切る」必要がある。しかし,観察の打ち切り時点までは生きていたネズミが,その翌日に死ぬ可能性もある。このように,観察が打ち切られたために「死が記録されなかった」ネズミを,有害物質の投与によっても「死ななかった」ネズミと同一視すると,その有害物質の毒性が,実際よりも低く見えてしまう。そこで,このような問題に対処するために,単にある出来事の発生率を調べるのではなく,時間の経過の中である出来事がどのくらいの割合で発生するのかを分析することとしたのが,生存分析である。
 生存分析の手法は,動物実験などの「死」に関する分析ばかりでなく,例えば,機械工学の分野で,新製品を連続稼働して故障するまでの時間を分析するなど,時間の経過に伴うできごとの生起に関する分析に広く応用されており,欧米では,すでに1980年代からこの手法を犯罪研究に応用し,刑務所などの出所者の再犯に関する分析を行った研究が行われている。
3 令和2年版犯罪白書では,この情報について,「平成17年6月から,刑事施設の長は,警察庁に対し,13歳未満の者に対する強制わいせつ,強制性交等(強姦),わいせつ目的略取誘拐,強盗・強制性交等(強盗強姦)等に係る受刑者について,釈放予定日のおおむね1か月前に,釈放予定日,入所日,帰住予定地等の情報を提供している。令和2年5月31日までに情報提供した対象者数は,2,178人であった(法務省矯正局の資料による。)」と紹介している(同白書 59ページを参照)
4 具体的には,疾病などにより刑の執行を停止され入院中に死亡した者,満期出所と同時に入院しそのまま死亡した者などである。
5 ここで言う性的犯罪とは,暴力的性犯罪のほか,公然わいせつ,育成条例違反,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,窃盗(色情盗),性的目的の住居侵入,迷惑防止条例違反,軽犯罪法違反等を含む。
6 カプラン・マイヤー法は,観察期間の経過に伴って,あるできごとの生起率がどのように推移するかを,観察打ち切りを考慮に入れて推定する手法である。すなわち,観察期間を終わった時点(本分析では平成22年5月31日)で生存している者(本分析では再検挙されていない者)や他の原因で死亡した者(本分析についていえば,出所後性的犯罪以外の犯罪で収容された者など)といった観察打ち切り例については,もし生存していたら他の症例と同様の経過をとると仮定する。
 本分析では,出所から現在(平成22年5月31日)までの期間が人によってまちまちであるため,平成22年5月31日時点をもって「経過観察期間が打ち切られた」とみなして,性的犯罪による再検挙者率の推定を行っている。
7 比例ハザードモデルを用いた分析は,あるできごとの生起率に関連する要因(例えば,ネズミの死亡に対する有害物質の投与量など)の影響力の大きさを分析する統計的分析手法である。この手法により,例えば,「有害物質の投与量が1ミリグラム多いと,ネズミの死亡率が2倍になる」といったことが明らかとなる。
8 この分析結果は,表1に示した,「時間依存説明変数」を用いた分析によって得られたものである。時間依存説明変数とは,時間の経過とともにその値が変化する説明変数である。本分析の場合,仮釈放者は,出所当初は仮釈放期間中であるが,その後所定の日数が過ぎると仮釈放期間が終了する。そこで,仮釈放の影響がその「期間中」だけに限定されるのか,期間終了後も継続するのかを探るため,仮釈放期間中は「1」,仮釈放終了後は「0」の値となる,時間依存説明変数を用いたのである。なお,満期出所者はすべてこの変数の値が「0」である。
 なお,この,仮釈放期間中か否かを示す時間依存説明変数の効果は,純粋に統計学的な意味では「有意」とは言えない(p値>0.10)ものである。しかし,この分析に用いられたデータが,より大きな「母集団」から「サンプリング」されたものではなく,分析時点での「全数」についてのものであること,ならびに,説明変数の効果の強さを示す「ハザード比」(これが1.0のとき効果はゼロと解釈され,それより値が大きいほど強いプラスの効果,それより小さく0に近いほど強いマイナスの効果があると解釈される)の値(0.349)が,他のどの変数よりも強いマイナスの効果を示していることから,この分析の結果として報告するに足ると筆者が判断した。この点に関しては,原田(2012)も参照されたい。
参考文献
原田豊,1999,「犯罪・非行経歴の縦断的分析:研究動向と今後の課題」『科学警察研究所報告(防犯少年編)』39⑵:154-165.
原田豊,2012,「子ども対象暴力的性犯罪出所者の再犯等の分析」,梅澤秀監編,『少年法研究会30年のあゆみ』79-84.
岡邊健,2016,「再犯・再非行データの意義と可能性:平成28年版犯罪白書特集「再犯・再非行」を読んで(平成28年版犯罪白書)」『罪と罰』54⑴:5-15.
法務省法務総合研究所,2016,『平成28年版犯罪白書〜再犯の現状と対策のいま〜』法務総合研究所;日経印刷.
齊藤知範・山根由子,2018,「出所後の成人の性的再犯に影響する要因の検討:公的記録を用いた生存分析からの考察」『犯罪社会学研究』43:104-120.
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